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コウヤマキがつなぐ人との出会い。有飯・たんぽぽの会

たんぽぽの会

(たんぽぽの会会長・實吉さん(左)、会代表・槇田さん(右)。コウヤマキギャラリーにて)

「たんぽぽの会」プロフィール

昭和63年(1988年)に六日市・九郎原の畑詰・有飯地区の女性住民で「息抜きの場」として結成。コウヤマキ自生林の観察拠点であるコウヤマキギャラリーを中心に活動している。団体名は、踏まれても踏まれてもたんぽぽのように根を張り、絆を強く、ふわふわと飛ぶ種のように、たくさんの人と人との出会いを大切にしていこうと命名された。現在は地区の男性もメンバーに入っている。

コウヤマキギャラリー 町木である高野槇(コウヤマキ)

(コウヤマキ自生林観察拠点・コウヤマキギャラリー外観(左)。町木・高野槙(コウヤマキ)(右))

 

コウヤマキがきっかけに

きっかけは、昭和63年(1988年)に六日市・九郎原の畑詰・有飯地区の女性ソフトボール大会の練習で、「お茶会を定期的にして、ストレスでも発散しよう」という話から始まりました。最初は夫たちの男性グループ「自然と趣味に生きる会」の自生林観察会のお手伝いをしていたんですが、だんだんコウヤマキやその歴史について知るうちに、自生林は「吉賀町の宝」だと思うようになりました。

コウヤマキは吉賀町の町木で、世界三大庭園樹と言われています。コウヤマキの自生林は吉賀町より西にはなく、自生林は島根県自然環境保全区域に指定されています。また伝説では、弘法大師が中国から日本に戻られた際、この地区の住民は弘法大師に食事と水を提供したそうです。弘法大師はそのお返しにコウヤマキの種をこの地に撒き、「コウヤマキを守ることでこの地区は栄える」と言われたと伝わっています。

平成17年(2005年)に町がコウヤマキギャラリーの指定管理者を募集していることを知り、「コウヤマキを守るのは有飯地区住民でなければ」という思いから応募しました。そして町から指定管理を受け、現在「たんぽぽの会」会員20名が主体で、ギャラリーの運営やギャラリーを中心とした地域活動を行っています。

ギャラリー展示室 弘法大師とのかかわり

(コウヤマキギャラリー展示室(右)、槇山興運寺由来の記(弘法大師について書かれている)(左))
 

現在の取り組み

コウヤマキギャラリーは、カタクリまつりが始まる3月末から11月までの毎週土日の9時〜16時まで開館しています。施設にはコウヤマキについての写真展示や自生林が展望できる休息コーナーなどがあり、県内外から山巡りの団体の方が来られます。7月にはビアガーデン、12月にはクリスマス会、また同窓会にも利用され、食事の提供をしています。
毎年8月には自生林の観察会を行っていて、町外・県外から70名以上の方が参加されます。他にも4月にある「夢・花・マラソン」や11月の「きん祭みん祭農業文化祭」に団体で出店し、コウヤマキの苗や山岳むすびなどを販売しています。
ギャラリーの運営は、地区住民の方々の協力を得て、指定管理の会を主として、たんぽぽの会、雪割草の会、シルバーの会、ボランティアの会と4つに分け、担当を分担し、責任を持って行っています。そうすることで地区住民がまとまるんです。みんなでできることを楽しく、責任を持って頑張れることが、地域活性化に繋がっていると思います。

コウヤマキ観察会 下山者への食事の提供

(コウヤマキ自生林観察会(左)、観察会参加者に大好評の山岳むすびと豚汁。(右))

 

人との出会い・つながりに感謝

たんぽぽの会では、人との出会いや繋がりを大切にしていて、人との交流で勉強できる場だと思っています。年を重ねると勉強できる場がなくなっていくしね。隣の人たちがあって自分たちがあるわけだから、隣近所はとても大切だし、感謝の気持ちはいつも持っています。
ギャラリーの運営と管理を通じて、六日市・畑詰・有飯地区住民が、よりまとまったと思います。ギャラリーに集まって話しをしたりすることが、地区住民の楽しみの1つにもなるし、顔を合わせる機会があれば何かあった時にはすぐ集まれるしね。あと、自分たち自身が元気になって生きていくことが、地区の元気づくりもなると思う。この活動を長く続ける秘訣は、やっぱり人とのつながりを大切にすることかな。本当に良いメンバーが集まっていると思いますよ。
人との繋がりと言えば、東京スカイツリーは吉賀町出身の彫刻家・澄川喜一さんがコウヤマキをイメージしてデザインされたと言われていて、スカイツリーの足元には吉賀町産のコウヤマキが植えられています。ぜひ見てみてください。

 

東京スカイツリーへ移植作業 ソラマチひろばのコウヤマキ

(東京スカイツリー・ソラマチひろばへのコウヤマキ移植)
 

今後について

ギャラリーは、今は土日しか開館していないので、平日も開館できるように、あとはもっと施設活用をしてもらえるようにしたいですね。そうすればもっとギャラリーに来てくれる人が増えると思います。
前はつづら籠の教室もしていたので、そういうことに使いたいという人にもこの施設は活用できると思うし、地域住民の方が撮られた写真や作品展示をしてもいいと思うしね。喫茶コーナーも活用して、地域住民がお茶を飲みに来られる憩いの場などにもしたいし、民泊もしていきたいですね。
あとは吉賀町に住んでいる特に中高生たちが、人から「吉賀町には何があるの?」と聞かれたときに、例えば「コウヤマキ自生林がある」と答えられるようになったらうれしいですね。吉賀町にはたくさん財産があるので、地元の子どもたちにそのことをもっと知ってもらえたらと思います。