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花で笑顔と幸せを届ける。もったか花園・小田圭二さん

もったか花園小田さん

(もったか花園代表・小田圭二さん)

プロフィール

もったか花園代表。東京で仕事をしていたが、子どもが生まれたことをきっかけに、子育て環境の良い吉賀町に帰ろうと30歳のときにUターン。もともと農業がしたいと思っており、家族でできるものと考えた結果、花の栽培を始める。山口県に2年間の研修後、2001年にもったか花園をスタート。現在は島根県と県内花農家と共にアジサイの新品種開発に取り組んでいる。2012年にアジサイ・万華鏡がフラワーオブザイヤーを受賞。

もったか花園ハウス

(もったか花園・ハウス)

Uターン起業、もったか花園

前から農業がしたいという想いはありました。東京でサラリーマンをしていたのですが、子どもが生まれたことをきっかけに、子育て環境の良い吉賀町に帰ろうと起業を決意しました。家族で農業をしたいと思っていて、花だったら農業経験の無い妻でも取り掛かりやすいかなと思い、花栽培を始めることにしました。また東京では量販店を回る仕事をしていたのですが、量販店が花に興味を持ち始めた時期でこれからおもしろい品目かなと思った事も理由の一つでもありますね。幸い、家族からは反対されなかったこともあり、起業にふみきりました。起業も何でも最後は自分の意思で決めること。自分で決めたということに立ち戻ればどんな時でも踏ん張れるものだと思います。
それから山口県で2年間の研修を経て、もったか花園をスタート。5棟のハウスで、鉢花を作っています。「もったか花園」という名前にしたのは、ハウスの後ろにそびえ立つ山「盛太ヶ岳」から流れる伏流水を使っているから。経営理念は「もったか花園の花でお客様に笑顔と幸せを届ける」こと。「どうしたら花で笑顔になってもらえるか?」「幸せを感じてもらえるか?」ということを常に考えながら花を栽培しています。

シクラメン 家族とともに花を育てる

(夫婦で育てるシクラメン)

 

現在の取り組み

シクラメンやアジサイを中心に年間17品目の鉢花を栽培していて、栽培された花の9割は広島や山口の花市場に週1~2回出荷、1割は道の駅や町のイベントなどで販売をしています。シクラメンとアジサイを中心にしたのは、創業当時、島根県がシクラメン栽培に力を入れていたことや、同じ種を蒔いても育てる人によって出荷時の出来に大きな差が出るというところにやりがいと面白さを感じたから。アジサイは山口の研修農家さんが栽培していたからですが、今は県がアジサイに力を入れています。2010年に県と花農家6件が集まって「アジサイプロジェクト」を立ち上げ、シクラメンの裏作品目として県のオリジナル品種の開発がスタートしました。そして2012年に「万華鏡」という品種がフラワーオブザイヤーを受賞。県が力を入れているシクラメンとアジサイを栽培していたことは、私にとってとてもラッキーなことでしたね(笑)。
「もったか花園の花でお客様に笑顔と幸せを届ける」ためには、お客様が購入後もきれいな花が長い間咲き続けることが大切。根の量が多く、しっかりと根が張っていることや少量生産でしっかり手をかけて丈夫な株を作ることを意識して花を生産しています。

あじさい シクラメンの根っこ
(アジサイ「万華鏡」(左)、シクラメンの根の量(右)。根が多い左の方が長く咲く。)

お客様のニーズに合わせた対応、次につながる経営を

町などのイベントでも花を販売していますが、お客様と直接話ができてニーズを知る良い機会なので、積極的に出店するようにしています。お客様のニーズを知らずに漠然と花を栽培していても、それは自己満足であり経営が成り立たない。花市場によっても好みが違い、市場ごとに花の配色等の荷造りを変えています。きめ細かく対応していかないと生き残れないですね。
花屋さんからの注文も年々細かくなっています。例えば、シクラメンは赤や紫などの色4~5鉢をセットにして出荷するのですが、花屋さんの地域や客層によって売れ筋が違います。田舎では白が売れず、年配の女性は紫などの濃い色を好まれる傾向にある。そうすると、「白抜きで」とか「あの色を多めにしてほしい」といった注文が入る。花屋さんも売れ筋の欲しいものしか買ってくれないわけです。
あと花農家としては最小限の規模でやっているので、なるべくロス(品質が悪く出荷できない花)を出さないようにしています。お客様が購入した花がすぐ枯れてしまったりすると、「笑顔と幸せを届ける」ことはできません。目先の売ることだけではなく、経営理念に沿った長期的視点で、次に繋がるような経営をしています。

きんみんに出店 花名称ハーレカイン

(町イベント・きん祭みん祭に出店(左)、シクラメンの品種「ハーレカイン」(右))

新品種の開発と仲間づくり

現在行っている「アジサイプロジェクト」でオリジナル品種の栽培技術を確立、定着させていくことですね。これが軌道に乗れば経営的には安定してくる。あとは近くに花農家さんが増えたらうれしいですね。島根の東部では20件近くの花農家がすぐ近くにまとまっているのですが、石見地方では7件、鹿足郡内では私を入れて2件しかありません。気軽に花農家をやってみたらとは言えないけど、相談できたり、アドバイスをしてもらえる人が近くにいたらいいなと思います。農業資材も共同で購入できるしね。
あと今後は「相対販売」の取引先を増やして行きたいです。花市場のセリでは価格が安定せず、値段がかなり下がることもあります。お客様や花屋さんに信頼され「もったか花園の花が欲しい」と注文していただけるように、常にニーズを把握し続けることが重要だと思います
田舎で農業をすることは大変だけど、やりがいはあると思います。自分の存在を地域が必要としてくれていることが都会とは違うところかな。周りに知り合いもいて助けてくれたりしてバックアップもあるしね。だからあとは自分自身が「どんな農業をしたいのか」ということをよく考える必要があると思います。

サイネリア
(サイネリア)