• まち・ひと
  • 住まい
  • 子育て・医療
  • 働く・学ぶ
  • 聞きたい・相談したい
  • 田舎体験・交流

カタクリの自生地を大切に守る。カタクリの里保存会

カタクリの花 カタクリの花一面

(春に可憐に咲くカタクリの花)

カタクリの里とは

カタクリはユリ科の多年生草本で、吉賀町のカタクリの里では3月下旬から4月上旬に開花します。カタクリの花は日の光を受けると自生地一面に薄紫やピンク色の花を咲かせ、日が落ちると花を閉じます。吉賀町の樋口のカタクリの里は、住んでいたご夫妻が自生していたカタクリの花を大切に育てられたのが始まりです。現在、カタクリの自生地は1,500平方メートルに広がり、春には山の斜面にカタクリの花のじゅうたんが広がります。

今回インタビューした方

インタビューした方

水上健二さん(左)、山吹寛さん(右)。毎年持ち回りでカタクリの里保存会の会長をされている。

カタクリの里保存会のはじまり

樋口上の5軒13名が集って開催しています。元々こちらに住んでおられた早田さんという方の所有地で、自生していたものを早田さんご夫妻が愛着を持って管理されていました。それは几帳面な方で、カタクリの花もその周りも随分きれいにされていました。カタクリの花は山奥にある花として知られていますが、ここのカタクリは道路に面していて、車で近くまで行ける群生地。足が不自由な方でも見られるようになっているんですよ。今のむいかいち温泉が完成する前は町で一番の観光地だったんじゃないでしょうか。当時から外部へのPRは一切していないんですよ。ただ口コミで広まっていって、ものすごい沢山の人が訪れるようになりました。それから早田さんが看板を立てたなあと思ったら、来た人が「何か食べ物が欲しいねえ」ということになり、では祭りをしようということに。
当初は8~9軒で開催していましたが、今は高齢化。運営も毎年地区外からボランティアを募って行っています。もうすごい人で、ありがたいことに現在でも九州から毎年観光バスが来たりと賑わっていますね。

カタクリ祭りの様子

(カタクリ祭りの様子。神楽を毎年上演している。)

現在の取り組み

毎年3回、花が咲く山の斜面の草刈りをしています。それがすごい傾斜でもう大変。竹が浸食してくるのを防いだり、去年(平成26年)は猪に荒らされてしまって柵を張りました。カタクリの花は毎年3月25日~4月10日前後が見ごろ。カタクリの花は種が落ちて咲き始めるまで6、7年かかるんですよ。そのくらい年月をかけてじっくり咲く花なんです。でも気軽に触ったりするとすぐ花が折れたりする。気候によっても根付く、根付かないが変わってきますね。1つの花は1回咲くと1週間しか持たないとてもはかない花なんです。
昔は和牛を飼う為に山の草を刈り、寒さを防ぐ為牛の下に敷いていました。ここら辺は田んぼを耕す為にみんな牛を飼っていて、自然と山も手入れをするようになるからきれいだった。だから昔はどこにでもカタクリの花がありました。それが耕運機が出てきて牛がいらなくなり、草を刈らずに山をどうするかということで杉を植えた。そうしたら山の下に日が当たらないでしょう。そうしてカタクリの花はどんどん無くなっていきました。
祭りは毎年3月末の日曜日に開催しています。今年は婦人会の方のドーナツとコーヒーを祭りで行い、裏にあるやまぶきグリーンファームでは古代米うどんやスイーツも楽しむことができますよ。

カタクリの里清掃

(カタクリの里を清掃活動する保存会)

想い

今まで保存活動を続けていきたいが、地区が高齢化しており今後どうなるかが心配です。先のことはわからないからね。今までも近くの杉を切って面積を広げたりしてきたけれども、今後も手入れを続けてもっと広く、一面がカタクリの花という景色を作っていきたいという気持ちがありますね。今群生しているところのすぐ横にも咲いているカタクリの花もあるんです。そこと繋げたいなあという想いがある。
早田さんはお金もうけでもない。けれどもカタクリの花を育て続けるということを一人でやり続けたんですよ。家を開放してお茶を出されていました。食べ物も中で食べても良いよと。その背中を見ていて、ああこういうことが村おこしっていうもんかな、と思ったんです。じゃあ今度は自分らがやろうと色々するが、儲かることではないんですよ。こうやってやっていく、ということが楽しいんです。今は都会は給料はいいかもしれないけれども住みづらいでしょう。自分も百姓はダメだと親に言われたが、それを振り切って広島から帰って百姓しているんだから、都会から来る人のこともわからないことは無いんです。利益だけを考えすぎず、やろうと思ったらやる。それが田舎の生き方なんです。
 

伝えたいこと

カタクリは花が好きな人に来てもらいたいですね。人の手がかかっている、というところを汲み取って観て欲しい。だんだん毎年来る人も増えていって、顔で繋がる関係ができていくんです。そういえば早田さんが生きていた時も、おじさんに会いに来ている人がやっぱりいたと思うよ。そういう人たちが運営が大変そうだったら駐車場整備を手伝ってくれたりね。そういう人が増えてくれたら嬉しいですね。

カタクリの花接写 

(カタクリの花を見に来ませんか?)